鴻池運輸株式会社 和歌山支店

鴻池運輸株式会社 和歌山支店

「女性の活躍」を和歌山支店の新しい文化に

企業紹介

 明治13年(1880年)創業。国内外でモノの運搬や保管を担う物流事業に加え、鉄鋼・食品メーカーの工場内でのものづくり(生産工程)の請負、医療機関や空港でのサービス業務など、多様な分野で物流の枠を超えた「マルチソーシングサービス」を提供しています。
 和歌山支店では、大手製鉄会社の和歌山製鉄所の操業開始時から80年近くにわたり、製鉄所内での製造・物流・エンジニアリングなど主要な生産工程の一部を担い、最高レベルの安全性と品質を提供しながら、業務改善の提案に努めてきました。
 その経験と実績をベースに、さらに技術力と生産性を高めて成長していくため、近年では、作業の機械化(ロボット・AI化)や安全教育・品質教育のさらなる充実に取り組んでいます。また、女性や障害のある人の活躍など、ダイバーシティ(多様な人材の活躍)を推進するとともに、働きやすい職場づくりや福利厚生の充実にも力を入れています。

職場外景

ダイバーシティ推進・働きやすい職場づくりへの取組のきっかけ

 人手不足が顕在化するとともに、働き方改革が議論される中、和歌山支店も将来のあるべき姿を明確にし、その実現のために新しい取組を進めていく必要があると考えました。
 そこで、支店の業務をより幅広い層の人に担ってもらうため、女性の職域拡大や障害のある人の雇用を推進するとともに、それに見合った職場環境を整えるため、安全対策の強化、教育・研修の充実、働き方の見直しと改善、福利厚生の充実などに取り組みはじめました。

主な取組内容

●女性の活躍推進
 女性の職域拡大のため、新卒の女性社員を中心に、製鉄所内の現場業務(クレーン運転、製品梱包など)への配属を進めています。長い間、鉄の生産現場は「男性の力仕事」というイメージで見られがちでしたが、実際は作業の機械化が進んだこともあり、必要・十分な教育研修を受けていれば、性別を問わず誰もが活躍できる職場となっています。
 製鉄所の現場で働く女性社員は、きめ細やかさ、持続力、集中力、高い衛生感覚、心づかい、気働きなど、女性ならではの特長を活かして、品質の向上や職場環境の改善、コミュニケーションの活性化などに貢献しています。これは当初の想定を上回る効果であり、女性の現場配属を拡大していけば、業績の向上はもちろん、和歌山支店に「現場女子の活躍」という新しい文化が生まれることへの期待感が高まっています。今後も、さらに女性の活躍を推進していくため、管理職への登用を見据えた教育・研修のあり方を検討しています。

●障害のある人の活躍推進
 障害のある人を総務部に採用し、補助業務を担当してもらっています。活躍職場の拡大を目指し、在庫管理に関するデータ入力・集計・統計などのデスクワークや、社内メール便の配送などの業務の洗い出しを進めています。具体的な業務内容や勤務時間については、個々の障害に合わせて設定しています。
 現状、現場担当者が行っているデスクワークなどの付帯作業を、障害のある人に担ってもらえることで現場担当者の負担が減り、本来業務に集中することで生産性の向上と時間外労働の縮減につながります。今後も、障害のある人の受入れを拡大し、事業の活性化につなげていきたいと考えています。

●福利厚生の充実とインフラ整備
 女性や障害のある社員のための環境整備として、トイレ、更衣室、シャワールームを新設・改修するなど、インフラの充実を図りました。
 独身寮については、男性用・女性用ともに完備していますが、現在、増設を計画しています。女性用についてはセキュリティの強化(二重ロック、防犯カメラ、外部から視線に配慮したレイアウト)を、男性用についてはキッチンの使い勝手の良さなど暮らしやすさを重視した新しい寮の開設準備を進めています。
 貸切バスでの観劇ツアーを実施するなど、レクリエーションも盛んです。2018年4月には、社員のいっそうの親睦と健康増進を目的に、野球部を創設しました。野球経験の有無に関係なく気軽に参加でき、普段の業務では顔を合わせることのない、他部署の社員とも交流を深められるのが魅力です。部員は県大会で入賞するなど、大活躍しています。

●「安全・安心・安定の職場づくり」に向けた教育研修プログラム
 製鉄所の現場作業の原点は「安全」であり、その追求に終わりはありません。和歌山支店では、女性の現場配属に備えて安全教育の充実を図ることとし、新入社員からベテラン社員まで、経験年数や習熟度に応じて体系的に「安全」について学べるプログラム(基本実践マネジメントシステム)を導入しています。
 また、品質向上への意識を高める品質教育、ハラスメント防止や人権尊重の社会づくり協定(和歌山県)に基づく人権啓発などのコンプライアンス教育も行い、「安全・安心・安定の職場づくり」、「風通しのよい職場づくり」を進めています。

●社員のスキルアップ支援
 ベテランから若手への技術の伝承を大切にしており、職種ごとにOJTを実施しています。
 また、誰がどのような技術を修得しているかが一目でわかる一覧表を作成し、個々の社員の教育研修や休暇時の代替要員の確保などに役立てています。
 社外の教育機関で製鉄に関する知識や技術を学ぶ自主研修の受講も勧めており、受講料は会社が負担しています。通信・通学を合わせ、これまでに100名以上の社員が受講し、現場担当者としての総合力アップにつなげています。

●仕事と子育ての両立支援
 和歌山支店では、子供が3歳に達するまでの育児休業制度や、小学校就学前までの短時間勤務制度など、仕事と子育ての両立支援について積極的な取組を進めてきました。その実績が認められ、2017年、厚生労働省から「子育てサポート企業」の認定(=「くるみん」認定)を受けています。
 子供の入園や入学などの節目に祝い金を支給する制度も設けています。

●働き方・休み方の改善
 労働時間については、個々の社員の業務の進み具合などをきめ細やかに把握した上で、必要に応じて業務の平準化を図っています。また、上司は体調管理や働き方・休み方の状況について日常的にヒアリングや声かけを行っています。
 休暇については、年間の休暇取得計画を事前に調整し、計画的な年休取得を促進しています。

社員の声

大岩さん(物流課)  2018年入社

 工業高校で学ぶうちに、細かい作業を伴う仕事に関心を持つようになり、将来は「ものづくり」の現場で働きたいと考えていた私に、卒業が迫った時期の進路相談で担任の先生が勧めてくださったのが、鴻池運輸和歌山支店でした。
 生まれて初めて製鉄所を見学し、想像以上のスケールに感動して興味を惹かれ、「ここで働こう!」と決意し、入社しました。
 最初の配属先は、希望どおり、他の3名の新卒女性社員とともに、鉄板をロール状に巻いたコイルという製品の梱包・出荷を担当する職場となりました。新卒女性社員の現場配属は、鴻池運輸和歌山支店の長い歴史の中で、私たちが初めてのことだったと聞いています。
 2年目の現在は、クレーン国家試験にも合格し、引き続き、上司や先輩から1つ1つ丁寧に指導していただきながら、出荷部門の業務の流れを学んでいます。覚えるべきことがたくさんありますが、多くの人と関わることができる出荷部門は、おしゃべり好きの私にはぴったりの職場だと思っています。
 いちばんありがたいことは、職場でともに働く周囲の人に恵まれていることです。上司や先輩は、日ごろから、何か困ったことはないかと常に気を配ってくださるので、心強く感じながら、安心して仕事に取り組むことができます。また、配送業者の方からは、いつも、「おっ、もうその作業できるようになったんか!」などと声をかけていただき、とても励みになっています。プライベートでも親交のある同期の社員は、もちろん心強い存在です。
 今は、少しでも早く一人前になり、お世話になっている方々に恩返しができればと思っています。

今後に向けて

 女性社員の現場配属により、品質向上や職場環境改善といったプラスの効果が生じ、女性が事業発展の原動力になるという新しい文化が生まれつつあります。
 今後、女性の活躍をさらに推進していくため、女性の管理職の割合に関する数値目標の設定や、子供を連れて出勤し子供の近くで働くことができる職場づくりなども展望しています。
 和歌山支店でキャリアをスタートした女性社員が、結婚・出産後も子育てをしながら仕事を続けて活躍し、やがては管理職として和歌山支店の中核を担う人材に成長できるように、キャリアアップの支援と環境整備を進めていきたいと考えています。

基本情報

事業内容 製鉄所構内における生産工程の請負・
エンジニアリングサービスなど
企業名 鴻池運輸株式会社 和歌山支店
創業 ・本社創業=明治13 (1880) 年
・和歌山支店開設=昭和16 (1941) 年
所在地 〒640-8423 和歌山県和歌山市松江中3-8-41
TEL 073-455-4101
代表者 支店長 西畑 順一
従業員数 970名
URL https://www.wakayama-konoike.net/